平成23年度第19期通常総会

2011年06月09日

平成23年度第19期通常総会は、今回の大震災で亡くなられた方々へ黙祷を捧げてからスタートしました。モンテディオ山形のゼネラルマネージャー中井川茂敏氏の講演、通常総会、そして懇親会と例年と同様の流れで無事終了しました。被災された組合員が辛苦を乗り越えて復活を力強く語ったり、また仕事上の情報交換と協力体制を確認したりと、例年にも増して同業者としての絆が結ばれたように思います。

中井川氏の講演内容はラベル新聞社の鈴木由紀子氏がまとめて下さいました。プロの筆力をご堪能下さい。


 


平成23年度第19期通常総会
 


 


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平成23年度第19期通常総会
 


 


≪モンテディオ山形GM中井川茂敏氏講演内容≫

中井川茂敏氏――モンテディオ山形のチーム力強化のため、07年にチーム統括責任者、ゼネラルマネージャーに就任。

 

 ◆「低予算でも収益はあげられる」

 20年前から、モンテディオ山形とベガルタ仙台が戦う「みちのくダービー」が開催され、両者切磋琢磨の試合を継続してきたことで、現在では共にJ1へ昇格している。

 私は、モンテディオ山形のゼネラルマネージャーとして、クラブの進むべき道を決める立場にある。今日は、これまでどのような問題をどのように解決してきたか、またそれらは一般企業の経営にも通じる点があるということについて述べる。

 モンテディオ山形は、クラブの事業規模はJ1チームの中でも小さく、事業予算も非常に少ない。具体的には、09年で約117000万円、今年は約13億円と、J2クラブの予算に近い金額となっている。そうしたこともあり、評論家の順位予想も大体16位くらいで、常にぎりぎりのところで戦い、勝ち残ってきた。

ここで言えるのは、少ない予算組みの中で、いかに効率良く戦い、成果を挙げていくか、ということ。企業でいえば、いかに効率良く生産し、収益を上げるかということになる。

そのために、何をしなければならないか。

サッカープロリーグでは、順位が落ちれば、必然的に客も、サポーターも離れていく。要するに、順位が上がらないと経営が潤滑にできないわけで、強いチーム、負けないチーム作りが必須となる。

企業に置き換えると、強い企業体質、負けない体質を構築すれば、顧客は離れていかないということになる。

ゼネラルマネージャーの役割としては、そのようなチームを構築するために、まず何をしたか。優秀な選手をスカウトし、育成すること。そして、練習環境を整えること。さらに、優れた指導者、スタッフ、コーチの招聘に力を入れた。

これらをクリアーすることで、ある程度の結果は出るが、ここからまたステップアップしていくためには、チーム全体が目標を共有することが重要となる。そして、指導者となる監督やコーチは、人間性や度量、表現力など、リーダーの要件を十分に満たしている必要がある。

日本サッカー協会の公認指導者ライセンスの最上位はS級ライセンスで、これを保持している指導者は約300人いるが、その中でも、リーダーの資質を持つ人はというと、20人くらいに絞り込まれる。低予算チームのGMとしては、良い監督を選び、良い選手をスカウトし、環境を整備し、目標を持たせるなどで、とにかく結果を出すことが求められる。逆に、これがクリアーできなければ、GMはつとまらない。

経営規模が小さいなら小さいなりに、チーム(企業)を強く、大きくする方法というものがある。それには、まず、組織のリーダーが、リーダーたる資質を持っている必要があり、選手には、勝つための目標を持たせることが必要だ。

◆チーム・企業を強くするには

当チームのJ2での成績は、07年が9位、082位だった。この間、選手はそんなに入れ替わっていない。では、どうしてこのような結果が出たのか。

まず、伸びしろのある選手を鍛え直し、力が拮抗している選手と争わせることでJ1入りを目指した。そして、「最後まであきらめない」ということをテーマに、取り組んだ。

その背景で具体的には、自分で洗っていた練習着を、活躍した選手にはご褒美としてチームが洗ったり、当時、反則が多く、協会に年間80万円ほど払っていたため、ルールを徹底し、反則した選手自身が罰金を支払うことにしたりするなど、細かい規則を作った。現在では、罰金制度は無くしたが、防げるファールは絶対なくすというルールを徹底しているほか、時間厳守にも厳しい。

良い選手、活躍する選手は、ロッカールームに早く来て念入りな準備を行う。それは、良い準備をしなければ良い練習ができないからだ。下の選手もそれを見て、同じ事を行うことで、全体のチーム力が上がっていく。

一方、監督やスタッフ、コーチも人身掌握力がある人を採用しているため、日常的にフリーランニングしながら会話をし、適切なアドバイスをするなど、11つ細かい積み上げを行っている。それにより、選手は意識改革ができ、飛躍的に成長することができるのだ。これら全体の連動により、組織は固まり、人作り、組織作りはより充実していく。

サッカーでいう成果、企業でいう黒字を生み出す原理原則は、「行動」することだ。技術と体力は共に高くなければ、成果にはつながらない。多くを訪問して体力を付ければ、必ず成果が生まれる。そして、フェアプレイ精神と互いのリスペクト。それが良い結果、強いチームにつながる。

J1昇格のメリット(強い企業のメリット

メジャーに昇格すると、企業スポンサーにも大きなメリットがでる。アウェイチームが山形に訪れることで、ホテル、商店街、企業などいろいろなところがうるおう。

例えば、浦和レッズが山形で試合を行った際には、約8000人が訪れ、天童市や山形市のホテルは満室となり、居酒屋も一杯となった。こうした地域活性化は、現役をリタイアされた高齢の方にも、高揚感をもたらし、生き甲斐作りにもなっている。例えば、相手チームサポーターのおもてなし企画として、さまざまな年齢層の方が、チームにかかわっていくというように。

また、地元商店街との連携や、選手が学校を訪問して子供達とふれあいの時間をもち、子供の育成、チームの発展につながる活動を行うことも頻繁になる。さらに、銀行、米、たまご、豆腐、自販機、ステッカー、など。地場のさまざまな企業や製品がチームサポーターとなることで、サポーター企業はうるおい、チームにはロイヤルティーが入り、より強くなる原資を得る。

一度チームが強くなれば、その根幹を間違えず、重要なことを継続していけば、相乗効果で周囲をも巻き込みながら上昇気流にのっていくことができる。これは、企業にも同様なことがいえる。

当チームのスローガンは「粘強(ねっづぐ)」。山形の方言に、漢字の意味を当てた造語だが、最後の最後まで粘り強いサッカーを行うということ。これさえ失わなければ、必ずや良い結果は生まれ、飛躍できると考える。

 

 

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